【書籍紹介・レビュー】発想鍛錬のヒント。『広告コピーってこう書くんだ!読本<増補新版>』谷山雅計・著

- 著 者:
- 谷山雅計
- 出版社:
- 宣伝会議
- 出版年:
- 2024年4月
本書では、コピーライター、クリエイティブディレクターの谷山雅計氏が、広告制作において、いいアイデアやすぐれたコピーを生み出す「発想体質」になるヒントを紹介しています。
「発想法ではなく、発想体質」。つまり本書で述べられているのは、広告コピーを書くための特別な発想法ではなく、自分のアタマを「発想ができるような体質」に変えていくためのヒントです。
「発想体質」になるために、まず最初に、「なんかいいよね」を禁止にしています。かわりに、「なぜいいのか。これこれこうだからじゃないか」といった思考を働かせる。この大切さを説いています。
つぎに、「コピーを書く作業」がどういうものなのか、ということを述べています。これは、「散らかす」「選ぶ」「磨く」、の3つのステップから成り立っているといい、このことを詳述します。
たとえば、「散らかす」は、こう説明しています。「コピーを書こうとしているひとつの商品や企業から、できるだけ多くの切り口や視点を探していく作業です。」と。
この「散らかす」能力はとくに重要なので、はじめの頃の目安として、「ひとつの課題について最低でも100本」のコピーを書くことを著者はすすめています。100本書く作業には、特別な能力は不要だそうです。その取り組み方も紹介されています。
他に、コピーはなぜ短いほうがいいのか、「コピーの第一の目的は、「描写」ではなく「解決」」、など、コピーを書くうえで心に留めておくべき様々なポイントを解説しています。
著者の谷山雅計氏が手がけた仕事を例示した解説もあります。その一つは、「1991年のJR東海大阪発キャンペーン「消えたかに道楽」」。このキャンペーンの仕掛けを説明しながら、広告が話題になるために、「みんなが言いたいことを言わせてあげる」という考え方について述べています。
もう一つは、新潮文庫の「Yonda?」です。谷山氏らがどのように考え、どのような企画書を作成したのかを知ることができます。これが本書の目玉だと思います。
『広告コピーってこう書くんだ!読本』は、2007年に出版されており、本書はその<増補新版>ということで、最後に「後日談」として著者自身が「2024年の目線で補足して」います。